研究室の活動 Activities
研究内容
ヒトメカニズム×知能ロボットでヒトを支援する
ヒトは普段,手を伸ばして遠くの物を掴んだり,倒れずに歩いたり走ったりという様々な動作を何気なく行っています.しかしながら,これらの動作を自然に実施するためには多数の筋をバランスよく収縮させ,適切な力とタイミングで実施する必要があります.また,ヒトは何かを目で見たり,肌で感じるなどの行動によって様々な情報を取得し,現在の状況や過去の経験から様々な判断や予測を行うことが可能です.
このように,ヒトは非常に複雑かつ高度な情報処理システムであり,多種多様なメカニズムによって成り立っています.これらのメカニズムは今も完全には明らかにされておらず,これらにはヒトを効率よく支援するためのヒントが隠されている可能性があります. 例えば,ヒトの活動にともなって生じる生体信号(筋電図,筋音図,脳波やバイタルなど)を適切に計測・評価して利用すれば,効果的にヒトを支援することができます.
我々の研究室では,ヒトの巧みな運動を実現するメカニズムの原理解明と,ヒトのように柔軟に思考・判断する人工知能を搭載した知能ロボット技術を応用し,様々なシーンでヒトを効果的に支援することを目指して研究活動を行っています.
研究テーマは大きく下記の4つを軸にしています.
高速&高精度にパターン識別を実現する人工知能モデル
確率モデルに基づく独自の学習理論の構築と,人間らしく,人間を超える人工知能チップの開発
- 医療や福祉,産業分野などへの応用を目指し,確率モデルを導入した新しいニューラルネットやサポートベクタマシンなどのパターン認識モデルを研究し,人間らしい,人間を超える人工知能の開発を目指しています.また,ニューラルネットや様々なシステムを1チップ化することを目指し,FPGAを用いたハードウェア実装を行っています.
<応用テーマ例>
- 確率的なパターン識別を実現するニューラルネットモデル
- 余事象分布を導入した未学習クラス推定モデル
- ハードウェア実装を思考したパルスニューロンモデル
- FPGAを利用した進化型ニューロンチップ
生体信号を利用したヒューマン・マシン・インタフェース
人工知能モデルを利用した人間支援インタフェースシステムの考案
- 生体信号から人間の動作や意図を推定することで,義手や身の回りの様々な機器,ロボットなどを制御できる新しいインタフェースの開発にチャレンジしています.
<応用テーマ例>
- 新しいゲームインタフェース
- 移動ロボットの制御
- 5指駆動型筋電義手
- ブレインマシンインタフェース
- 仮想反力提示デバイス
運動メカニズムの解明を目指した生体信号解析とヒューマンモデル
巧みなヒトの神経系・運動系・感覚系のメカニズムを表現する数理モデルの提案
- 筋電位 (Electromyogram: EMG),筋音図 (Mechanomyogram: MMG),脳波 (Electroencephalogram: EEG) などの生体電気信号をはじめ,加速度センサや磁気センサを用いた身体運動計測と解析に取り組んでいます.
- 生体信号がどんな身体情報を反映しているか,またヒトがどのような仕組みで運動をしているのかを明らかにするため,感覚や神経機能,筋骨格系の働きを表現するヒューマンモデルの構築に挑戦しています.
<応用テーマ例>
- ライトタッチコンタクトの機序解明と立位モデル
- 乳幼児行動と機能発達モデル
- 体性感覚刺激知覚特性モデル
- Central Pattern Generator群に基づく神経活動モデル
医師・療法士や患者を効率的にサポートする運動機能評価・訓練法
ヒューマンモデルと人工知能モデルに基づく医療支援
- 病症・運動機能の定量化と診断・訓練支援システム生体信号の解析技術を医療技術へ応用することで,医師の診断や療法士のリハビリテーションを支援するシステムの開発や病症・機能障害に関する新しい知見の発見などを目指しています.
<応用テーマ例>
- 仮想壁を利用した転倒予防法の考案と機能評価
- 多チャネル電気刺激を利用した動作伝達と運動学習支援
- 乳幼児行動解析による発達機能評価
- 指タップ運動解析に基づくパーキンソン病評価